序章



 

 出会いを招く者、
 出会いを司る者、
 出会いを企む者、
 出会いを囁く者。
そうして出会ったはずなのに、別れを招いたのは誰なのか、未だに誰も分からずにいる。

 砂漠に降りそそぐ雨のようでもある。
けれどその感情を最もうまく表わすそれは、ずいぶんむかしに誰かが言っていた。
 大地を砕く。
 亀裂が走り、水がほとばしり、間から砂がこぼれ落ちる。何か大きなものを亡くしたような、恐ろしい失望感が襲う。後戻りはできない。だが同時に、まったく新しい白くたいらな出現の場が、姿を見せる気がするのだ。
 そうやって皆が情景を思い浮かべている時に、それは答案がなにも埋められなくて背筋がスッとなる感じに似ているね、と言って静けさをぶち壊したのは津々自身だった。その場の雰囲気に耐えられなくなり、柄でもない惚けをわざとしたのだ。一人は冷たい瞳で、一人は笑いをこらえて、一人は無表情で津々を見つめていた。
 出会いを受け入れる者。それが津々の仲間たち総てで、津々の愛するもの総てだった。


 ―――宇宙にある全てのもの。




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